ないものねだりとわかっていても、いつだって他人は輝いて見え、劣等感は増すばかり。さらにソーシャルメディアには恋愛結婚出産高級ランチに海外旅行。まるで連日連夜の幸せポジティブストリーミングアタックです。でも投稿ボタンを押す、彼らの本当の心は誰にもわかりません。そう、こんなふうに。以下、実話です。
(※仮名、写真はイメージです。)
ノリくんの場合
高校時代の友人ノリくん。夢は音響関係の仕事に就きたいと目を輝かせながら、牛丼屋で毎日バイトしたその少ないお金で大好きなバンドのライブに行っては、門限ぎりぎりまで一緒に遊ぶような仲間の一人でした。当時16歳だったにもかかわらず、彼は結婚願望が強く、暖かい家庭にあこがれていました。ふうん、きっとノリくんのご両親もすてきな人なんだねというと、彼は言いました。
「俺はね…もし犯罪にならないのなら、何度だって父親を殺してる。」
ケンくんの場合
大学の同級生ケンくん。大学時代の同期の奥さんは専業主婦。都内の大企業のエンジニアとして働きながら、2人のお子さんには楽器を習わせ、余暇にはスポーツを満喫。都内の一等地に建てた家では、日曜大工に精を出し、前から欲しかったんだという腕時計を見せてくれました。
ケンくんは私の知るなかで一番、非の打ちどころのない「絵にかいたような幸せ」を体現したような人でした。自由奔放に生きすぎて、真逆の人生を送ってきた私にはスゴイとしか言いようがなく拍手していたら、
「…家に帰るのがイヤで、なんでもやりますって終電まで仕事詰め込んで、身体はヘトヘト、感動することない、たまに一人カラオケする日々を送ってる。そんな人生はどうよ?」
アルくんの場合
アルくんは動画編集のプロ。お給料は普通のサラリーマンの2倍。あまり近しい存在ではなかったけれど、ふしぎな人懐っこさで週末のパーティーやクラブ通いを楽しんでいた彼から、真夜中に電話がありました。
「俺はもうだめだ。ねえ、家にある痛み止め全部持って来てくれる?」
話を聞けば、「どうして俺なんかが生きているんだ」と思い続けて、女性問題からの金銭問題をきっかけに、長年とても危ないことに手を染めていたようです。とにかく明日行くから!と言って電話を切り、翌日待ち合わせの場所にフラフラで現れた彼の部屋は荒れに荒れ、明日実家に帰るまでの手はずを整え、猛烈な部屋掃除を一緒にしたのでした。
カニエくんの場合
彼はアメリカの地質学研究家。動植物にも詳しく、穏やかな彼には結婚を考えている彼女がいるんだそう。このコロナ騒ぎで外出が減ったので、することといったら酒を飲むか、彼女とイチャイチャかなぁエヘヘ、などと言って私はあまりのうらやましさにギリリ…と歯ぎしりをたてましたが、彼は目を伏せて言いました、
「でもね、僕は知ってる。彼女はときどき僕に黙って浮気をしてるってことを。
ソーシャルメディアのフィードに埋め尽くされる「編集された最大瞬間風速」の裏側には、人には言えない、言いたくない「冷たい夜」が隠れています。そのすべてを含めても、他人と自分との人生を交換してもいいと思いますか?人生思い出したくもないこといろいろあるけど、なかなかうまくやってきたと思いませんか?
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