【バーニングマン】人生楽しみまくっていたら、知らずに人の命を救っていた話

2年と3週間、約750日間にわたり、私は世界の半分をバックパックで歩き回る生活をしていました。必死で働いて貯めた300万円を資金に、日本の全てをまっさらにし、行けるところまで行こうと決めました。

行きたいところへ、限界まで

世界一周の本などを読み準備はしたものの計画はほとんど無いにも等しく、もう行った先で決めよう!というのが本当のところ。ただ思い描いていたのは、

・アメリカのバーニングマンに行きたい
・そこから陸路で南下、中南米には1年いよう
・夏を追いかけながら、有名観光地とイベントに参加しよう
・資金が尽きたらそこで終了

この程度(マジ)
寄り道や予定変更を絶対したくなるはずだと思い(実際その通り)、バックパックと片道航空券で点と点を線でつなぐ、リアル・クレイジージャーニーで移動した工程はこれ↓↓。

なぜこんな旅路に?

理由は簡単。日本を離れ一番最初に参加したバーニングマンに脳みそを吹っ飛ばされたから(写真そのもの)。それは「盲目の人に色を伝えること」のような形容しがたい強大な経験でした。旅の一番最初にそんなことをしてしまったもので、そのあとは取り憑かれたようにアメリカ大陸を行ったり来たり、2年3週間のうち、結局3回参加することに(旅を終えたあとも4回参加しています)。

ネバダ州のブラックロック砂漠で1週間開催されるこのイベント。7万人が大集合する中、半分以上は西海岸から来るアメリカ人ですが、私は運よくその1つのグループに入れてもらって以来ずっと交友を深めています。

キャンプメイトのとある男性

そのうちの1人、フォードさん(仮名)。50代半ばの、落ち着きながらも若さあふれるナイスアメリカンガイ。アジア系の奥さんと結婚し約30年。共働きで子供はおらず、最近2軒目の大きな家を建てたんだとか。型は古いが車を4台も所有し、共通の趣味のスポーツ観戦で余暇を満喫。広い庭で友人たちとBBQ。フェイスブックは幸せいっぱいの投稿で埋め尽くされています。何不自由ない、絵に描いたようなアメリカンライフ!うらやましすぎて吐きそう!

もしも1億円あったら?

フォードさんとバーニングマン会場のキャンプ内で、ブランコで二人乗りをしながら「1億円あったらどうする?」なんて小学生のようなことを言い合っていた時のこと。私は迷わずこう言いました。

「世界の果てまで旅するわ!まだ行ったことない国に行って、見たことないものを見て、食べたことないもの食べて、したことないことして、会ったことのない人に会って!あれしてこれして…!」

当時の私は無敵でした。笑。どれだけ旅が素晴らしかったか、信じられないようなハプニングと、壮大な景色と、感動的な出会いと…この世界を手中に収めたかのように、これまでの物語を一気に話しまくりました。

フォードさんはややショックな様子で私を見つめながらも話を聞いていました。

帰りの道中、車内で

バーニングマンも終わり、他のキャンプメイトの車で会場を去る時のこと。興奮冷めやらぬ私の横で運転手の彼がつぶやきました。

「俺とフォードはここ数年来の友人。だけど今、俺は心配している。彼が「自殺を考えている」って言っている。」

!?!?!?
私はただ聞くことしかできませんでしたが、近所のみんなで連絡を取り合い様子を見ることにするよ、という言葉に「私にできることがあったら言ってね。日本からだけど…」というのが精一杯でした。

しかし、その後彼は自殺を思いとどまったというのです。ああ、とにかくよかった…。

フォードさんと再会

その後のバーニングマンや日常生活で、何事もなかったかのように私たちは再会します。彼は私にとてもよくしてくれ、相変わらず、いやそれ以上のナイスガイぶり。一緒にお酒を飲みながら、彼が静かに話し始めました。

「僕には仕事も家も、美しい伴侶もいるけれど、僕はあの時あまりに人生が退屈すぎた。だから死のうと思ってた。」

………。

「しかし君に会った。君は僕のできないこと、いや、できたのにやらなかったことを全て経験してる。僕は家や車や一般的なものを手にして、責任感強く守ってきたつもりだよ。でも子供を持たないと決めたのに、もっと冒険的な生き方ができたはずなのに、家でテレビを見て本を読んでいる。君の『人とは全然違う、その勇敢で恐れを知らない姿勢』に震えたんだ。だから、生きる事にしたんだよ。

好奇心のままに、まるで明日が来ないかのように旅した私のリアル千夜一夜物語が、その一瞬の輝きのようなものが、彼の自殺をやめさせたというのです。私は旅をし、胸震わせていただけなのに。その胸の震えが、誰かの胸もまた震わせていたのです。

生き様を見せつけろ

それ以来(自分で言うのも照れ臭いですが)フォードさんは私の大ファンだと公言してくれています。くだらないギャグや真剣な人生相談まで、常にメッセージを絶やさず、私の幸せを無条件に願ってくれるストロングサポーターになりました。

人生はトレードオフ。全てを手に入れることはできないし、もう人間やめてもいいかなくらいの時はあります。本当にありますよね。でもそこに光を与えるのは、励ましや慰めの言葉よりも「人生楽しすぎてやめられねェ!」くらいの生き様を見せるあなたの姿が、誰かの命を救っているのかもしれませんよ!

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読めば必ず元気になる!4年半の世界旅行、バーニングマン、がん(肉腫)、義足と障害…稀有な人生を通して見る「このすばらしい世界」には人生で最高に役に立つヒントと勇気と笑いがいっぱい。あなたの「こころの夏至」までお連れします!