【こんなのインドだけ】宝石の密輸の片棒を担がされそうになった話

インド・ゴア。世界屈指のパーティータウンとして知られ、ハイシーズンには観光客でごったがえすこの地も、私が訪れた6月はモンスーン真っ只中。強風と高波でビーチは閑古鳥。トランスミュージックなど聞こえてくるはずもなく、ガラガラのレストランに入るとインド人男性が一人食事をしていたので話しかけました。
旅のヒント:現地人に話しかけると、楽しいことかやばいこと、どちらかが起きます(もしくはどっちも)。

もちろんどっちも起きました

デリーから来たクマール(仮名)。インドの7都市に店舗を構える宝石店に勤務している。友人と二人、大型バイクでインド縦断の旅行中。途中、友人を訪ねゴアに来たが、昨晩飲み過ぎて海岸でスマホを失くしたんだとか。このまま北上して最後はラダック地方のレー(本当に美しい!全人類におすすめのスポット!別記事で紹介します)をツーリングしに行く予定で…というので、私も同じだと話が弾み一緒にご飯を食べてその日は宿へ。

手作りカレーをご馳走になる

次の日も同じ時間に同じ席にいたクマール。また会ったねと話しかけたら「どうせ暇なら俺がカレーを作るから、滞在している友人宅で一緒に食おう」と誘ってきた。こういう時にいいよ!と言ってしまうのが私。何カレーが好きか?シーフードだなここはゴアだし!エビだエビ!と、私をバイクの後ろに乗せて小高い丘のほうへ走り始めた。途中、道端でゴザを敷いて適当に魚介を並べているそこら辺の誰か(マジこの表現が的確)がいたので、エビ500gを購入。

いいかんじの近代的なコンドミニアムで

そこから5分程度でクマールの友人宅に到着。これが基本16種類のスパイスセットさ!作り方はこうでこうで…と意気揚々と料理の腕を振るうクマール。居間のテレビではインドの次期大統領候補の政見放送が流れていて、物価を下げる!ガンジス川をきれいにする!などと言っている。

後ろをうろつく男たち

あっという間にスパイシーなエビカレーが完成!しばらくすると、友人だという男2~3人が帰ってきた。自己紹介もそこそこにがっつく私。彼らは一緒に食べるのかとおもいきや居間でくつろぎながら、他の部屋と居間を行ったり来たりしている。

お腹もいっぱいになったし、暗くなるまえに帰るよありがとうと言うと、最後に茶でも飲もうと私を送るついでに道すがらの喫茶店へ行くことに。そこで「俺も一緒に行っていいか?」と男がひとりついてくる。

チャイを飲みながら、話は核心へと近づく

その男は「で、これからどこに行くつもり?」と聞いてきた。静かに聞いているだけのクマール。その時私はバックパッカー22か月目、貯金残高を減らしながら、ヨーロッパは高いし、何より冬になる、陸路でパキスタンと中東へ…いやあぶないか…なんて考えていた。

「レーに行ったあとは決めてないけど、とにかく西のほう。」とざっくり答えた(でも本当)。すると男は、

「イギリス、フランス、ドイツ、イタリア…どこでもいいよ。片道でも、往復でも、君の航空券と宿代を1週間分出してあげる。

と言い出した。

は???

なにそれ?どういうこと?根なし草貧乏バックパッカーには願ってもないオファーに、正直ちょっと心が揺らいだのも事実。でも怪しすぎ&意味不明。でもとにかく話をきいてみる。要は、
俺たちの仕事の商品を旅先まで持っていってくれない?」ということだった。

はい!なにか匂ってきました!

そう思いながらも聞いてみる私。「ねえそれってどうやるの?」
要約すると↓↓↓、

【手順】
①私のパスポートのコピーと引き換えに、男たちから品物(指輪たくさん)と航空券などを受け取る
搭乗前に出発地の空港の郵便局から、目的地の空港の郵便局宛に指輪を発送する
その際に「これは家族への贈答品です」という記載をする←ここポイント!
④私はフツーに飛行機に乗り目的地へ
⑤目的地の空港の郵便局へ行き、自分の発送した商品を受け取る
ここで、ある番号へ電話すると、ある男がやってくるので、品物を渡す
⑦品物の総額の半分程度の現金をくれる

でた!これ密輸ってやつ!

小声にするでもなく世間話のように淡々としゃべっていく男。思ったことは全部聞いてしまおう。
「そんなの私に頼まないで自分たちでやればいいじゃん」というと、

「俺たちはビザの関係でどこにでも自由にいけるわけじゃない。なにより自分たちで輸出すると250%の関税がかかる

というではないか。なるほどこれが理由ね!だから「贈答品です」と一筆書くことで税金を回避しようということか。

しかも、

・郵便局から発送することで、品物に保険をかけることができ、紛失してもカバーできる
・もちろん運び屋(私)が横取りする危険もない
・万が一、運び屋がヘマするなどしても、パスポートの控えがあるから追跡できる

という仕組みさえわかってきた。もうその知恵に感服。よく思いつくZEこんなこと。しかし商品の分け前を半分くれたとしてもまだ利益があるってどういうことなんだYO。あっそうか!中身は何か別のものかも!?(怖)しかしよく堂々と話すよね!?

「あっそう、オッケー。」

ほら、これがやってくれた人のリストだよ、とパスポートのコピーの束をバラバラと見せてきたが、「いや私はやらないよ。まだ本当に行き先決まってないし、興味ないや。」というとあっそう、オッケー。と以外にも彼らはすんなり引き下がって、その場は何事もなかったかのように解散。

こんなことが起こるのは間違いなくインドだけ(確信)

明日も暇だからまたあのレストランでメシ食おうぜ~!という無邪気なクマール。まさかこんな展開になるとは思わず写真がほとんどないけど(途中から撮れる雰囲気ではない)、もうこれは私のバックパッカーエピソードの中でも1位に君臨するトンデモ話。

現地人との触れ合いは最高だけど、たまに倫理観がいろんな意味でケタ違いすぎるから気をつけて!自分の荷物は自分で運ぼう!(知ってる!!)

次の記事>>【マジかよ〜!】もう逆に笑える!義足の私が言われてショックだったこと5選

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